思い返してみると、イギリスへ行く前の私は固定観念に縛られていた。
特に働き方についてだ。
社会人は定職に就いているべき。
お金を稼ぐには会社に属するべき。
生きていくためにはとにかく働くべき。
イギリスであらゆる人と出会い、その価値観は崩れ去った。
皆それぞれの人生を送っており、「お金を稼ぐ」という考えについて違いを感じた。
ホストファミリーを生業とするホストマザー。
購入した家を自身で改造し、他人に貸出した家賃収入で自分の家賃を賄う語学学校の先生。
大学院生をしながら、複数校で自身も教鞭を取るフィリピン人の先生。
皆、共通していたのは、自分の得意や好きを活かして、無理のない範囲で働くというものだった。
そして、「企業や会社に頼るより、自分の手で生活を切り開いていく」という意識が日本よりも高いと感じた。
彼らの生き方は「必ずしも会社勤めをする必要はない。もっと自由に生きていい」と私に教えてくれているようだった。
文化や社会に違いがあるものの、この発想は思考が凝り固まった私の脳にガツンと衝撃を与えた。
日本でフリーランス業や自営業は、不安定でハードルの高いという認識がどこかある。
パート・アルバイトは、正社員に比べて給料が低く、社会的信用度も低いとみなされがちだ。
そんな日本で明言されない「当たり前」が、知らない内に私を縛りつけていたらしい。
そういうのが嫌だと思っていながら、結局私も日本人なんだな、と笑ってしまった。
三人の生き方をそのまま日本で再現したところで、生活できるとは思っていない。
ただ、「働き方にはもっと自由があっていい」というこの視点は、この先も私の心の片隅に持っていたいと思う。

コメント