入社一年目で、私は無力感しかなかった。
何の役にも立てていない。
そんな日々を過ごしていたある日、出来たばかりの建物の端に座り込んでいた。
もう夕方。
誰も来ないだろう、と思っていた。
すると、一人の新人を連れた他業者の職長さんがやってきた。
話したこともなく、直接の接点もなかった。
始まりは覚えていないが、自然にぽつぽつと会話を交わし始めた。
私のような新人を認識していたことに驚きつつ、話している内に私は仕事への不安を漏らしていた。
先輩たちの役にも立てていない自分が情けなくて、不甲斐なくてここにいる意味が見いだせなかった。
職長さんは目の前で作業する新人の姿を見ながら言った。
「今の若い奴らはやる前に聞いてくる。
やる前から聞くんじゃない。
やってみてから聞く。
やってみないと分からないだろ」
言った言葉をそのまま覚えている訳ではない。
だけど、そんな内容だった。
そのとき頭の霧が晴れたようだった。
私はやる前から先輩に質問責めにしていた。
失敗が怖かったからだ。
でもこれでは先輩の時間を無駄に奪っていると気付かされた。
期限などの必要なことを聞いたら、あとはやってみる。
やってみてから聞けば、聞くべきことが明確になる。
前もって聞いておくべきことも見えてくる。次に活かせる。
先輩も端的に明確に教えることができ、時短になる。
職長さんと話したこの景色を、今でも私は忘れない。
綺麗なオレンジ色の夕焼けが私達を照らして、穏やかな風がススキを揺らしていた。
職長さんが新人に指示を飛ばすとやる前から質問責めしてくる新人。
私は思わず心の中で笑ってしまった。
職長さんも「な?」と、呆れ顔を私によこした。
まずやってみる。
このブログもその精神で続けている。
文章力にまだ自信はないけれど、いつか書きたいことが書けるようになることを願って。

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